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ナイスコントロール ガリクソン投手からのおくりもの 連載(5)

そしてそれを改善してくれる治療薬が、インスリンというホルモンなのです。インスリンは、健康な人であれば、食事のあとすぐ膵臓から分泌されて、血糖値が高くなるのを抑制し、血糖値をさげる作用をもつ唯一のホルモンです。糖尿病になってしまうとそのインスリンが不足するか、もしくはある程度の量があっても効きが悪くなり、インスリンをさらに補充しなければいけなくなることが多いのです。

 そして、僕の場合は、インスリンが不足してしまったタイプでした。ウイルスが僕の膵臓の細胞を壊してしまったためです。ですから僕はウイルスに壊されてしまった膵臓の働きを、体外からインスリンを注射することで補わなければいけないわけです。でも自分に足りないのは、インスリンと言うホルモンだけである、というのはきわめて単純な話のように思えました。それさえきちんと自分に補充すれば全く健康体と変わらないということも分かりました。

 医学の世界ではなかなか特効薬とよべるものは少ないのだそうですが、インスリンは副作用も少なく、何十年でも安全に使える、糖尿病患者にとってはまさしく特効薬とよべる偉大な薬なのです。

  それから、病気になった時に、誰でもが考えることがひとつあります。それは自分は軽症なのか、重症なのか、ということです。誰だって病気になったのはしかたがないにしても、軽症であることを望んでいるはずです。

 しかし僕の場合には、インスリン注射をしなければいけないと言うこと自体、食事や運動療法だけで改善し注射をしなくてすんでいる患者さんと比べて重症というように一般には考えがちです。僕も最初はそう考えていましたから、本当に最初はインスリン注射が怖かったのです。野球選手の僕がこんなことを言うとみんなは笑うかもしれません。

 でも、やっぱり、自分で自分の体に針を刺してインスリンを注射しなければいけないなんて、考えただけでも怖くて注射器すら持てませんでした。自分は重症な糖尿病ではないか、だから一生針を注射しなければいけないのではないか、というとてつもない不安がありました。また針を刺すということで自分が病気を持つ身であることを一日も忘れ去ることはできない、という憤りもありました。自分で注射をしなさい、って初めて言われた時、僕はおもいっきりがつかなくて、思わず看護婦さんや両親に部屋の外に出ていってもらいました。

 (注)インスリンはとても良い薬なのですが、 ひとつだけ欠点があります。それは飲み薬製剤がまだできていないのです。経口薬もいろいろと研究されつつありますが、しかしインスリンが蛋白質でできていて、口から飲むと分解されてしまうため、経口薬をつくるのはなかなか難しく時間がかかっているのです。ですから現在の段階ではインスリンをうけるのには毎日注射をしなければいけません。注射というイメージから、なにか特別なことをしている、重症だ、と思われがちなのですが、実際にはそうではありません。糖尿病の重症度は神経障害や網膜症などの合併症の重症度によって決まると考えられています。

ナイスコントロール!―ガリクソン投手のおくりもの ビル・ガリクソン (著), 鈴木 吉彦 (著) 医歯薬出版株式会社

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