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ナイスコントロール ガリクソン投手からのおくりもの 連載(15)

ある日、僕にとってはとてもありがたいことがおきました。お医者さんから、血糖測定器という器械を手渡されたのです。それまで僕は自分の血糖の状態を知る手段としては尿糖測定しかありませんでした。しかし、尿はある程度たまってからしか体外にでてきませんから、即座にその場の血糖の状態を知るのではなくて、ある程度時間がたった後の結果を見ているようなものでした。これに対して、血糖値が簡単に測定できれば、自分が知りたい時に直ちに自分の状態を知ることができるわけです。もちろんそのたびごとに採血をしなければいけないのですが、写真にあるようにいまはほんの極極少量の血があれば足りるようになりました。本当に蚊にさされたくらいのちょっとした痛みを我慢すればそれで済むのです。その後、この血糖測定器は野球選手の僕にとってはなくてはならないものになりました。なぜなら僕はこれをつかって、試合の前には自分のベストの血糖値にコントロールすることができるようになったからです。

 そこで試合の前には2時間前に必ず血糖値を測るようにしました。そして試合直前の血糖値が180mg/dlくらいになるのを目標としました。もし2時間前の血糖値が高ければ速攻型のインスリンを追加注射して、試合直前には血糖値をさげるようにしました。血糖値が200mg/dl以上あると疲れややすくなってしまうからです。また、もし2時間前の血糖値が低ければ、夕食を少し多めに食べたり、試合直前に補食をしたりしました。とにかく、プロである以上、試合の前には絶好のコンディションに仕上げておくのは義務なのですから、採血する針が痛いのなんの、というのは全く気になりませんでした。それに試合中にだって測ったことはあります。このようにしていくうちに僕は次第に自分の主治医よりも、もっと自分の糖尿病のことについては詳しく知るようになりました。

 それから、試合中にはコカコーラを必ず自分の手の届くところにおいておきました。そして血糖が下がりそうだなと思う時には、いつでも飲めるように万全の体勢を整えて置きました。そうはいってもやはり、君は糖尿病なのにそんなにジュースばかり飲んでいていいのかい、と質問してくれる”親切な?”人はいるものです。僕は彼らにインスリンの作用の話を少しづつかみくだいて説明し、理解してもらいました。必要ならば彼らの眼の前でインスリンを注射してみせ、その実態を知ってもらい、彼らを教育してみようと試みたことすらありました。また試合の時だけではなく、友達とハイキングにいく時も、かならずそこにはジュースがあるとか、あらかじめチェックするようにしていました。

 モントリオールエクスポーズには7年おりました。82年から85年までの4年間に毎年12勝以上勝ち続けたことが認められ、その後僕はシンチナティレッズに移籍しました。レッヅは大リーグの中でも最も贅沢で派手なチームでした。ここでは僕は中堅のピッチャーとして若いピッチャー達をひっぱっていました。その後は87年にはニュウヨークヤンキーズに移りました。ヤンキースは、昔ベーブルースやルーガーリックがいた大リーグの中でも最も有名で人気の高い球団です。

 1987年のシーズン終了後僕は大リーグに9年間在籍したことになりました。大リーグでは9年間以上在籍した選手は自由に他球団に移る資格があり、それをフリーエージェント制といいます。これは大リーグ選手会がつくったベテラン選手に与えられるひとつの特権と言えるものです。つまりこの時の僕はこの制度を生かして、自分の実力を高く評価してくれる球団ならばどこの球団とも契約できる状態にあったわけです。そこに突然、日本のジャイアンツから電話が来たのです。初めは、日本語英語でわけがわかりませんでした。でもしだいに、東京のジャイアンツからの電話だということがわかりました。この時にはまた他の球団からの誘いがあったのですが、僕は日本が好きでしたから一度行ってみたいと考えていましたので話に応じることにしました。

ナイスコントロール ! - ガリクソン投手のおくりもの ビル・ガリクソン (著), 鈴木 吉彦 (著) 医歯薬出版株式会社

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