• clinic94

ナイスコントロール ガリクソン投手からのおくりもの 連載(最終回)

あとがき 鈴木吉彦 僕は巨人ファンでした。ガリクソンが来日した時は、それはもう驚いたの、喜んだの、言葉に表現できないくらいの感動でした。でも、あまり自分とは遠い存在のようで、彼にラブコールを送ることはできませんでした。

 そしてある日、僕のいる病院で、彼がチャリティ講演をする機会がありました。そこで、彼の言葉の一言、一言を聞いているうちに、彼の存在はきっと世界中の糖尿病や他の病気で悩んでいる人たちに希望を与えるに、違いない、そのためにも彼の話を広く世の中の人々に知ってもらいたいと感じました。

 その後、彼とは親しくなり、個人的なつきあいをするようになりました。彼はいつもフランクな身なりで、ちっとも気取らない全く普通のアメリカ人で、よく二人で冗談を交わしました。

 彼には、これまで多くの出版の話があったらしいのですが、すべてそれらは断ったそうです。それは糖尿病を克服しながらここまでやってきた、ということが、彼にとってどれほど大切なことであってのか、関係者にそれをわかってくれる人がいなかったため、だと聞きました。その時、僕は、糖尿病を専門とする医師として、全力をそそいで一冊の本をまとめ、彼に、そして彼を尊敬している糖尿病の子供たちにプレゼントしようと考えました。

 そこでこの本の制作を彼にもちかけたところ、彼はこういいました。 『ドクター、それはグッドアイディアだ。そしてこの本の収益は全世界の子供たちのために使ってほしい』と。この時僕は、ただただ彼の深い人間愛の精神に感動し、大切なものを呼び起こされた気がしました。そして、『もちろんさ、ガリー。世界の糖尿病をもつ人たちのために、いっしょに力をあわせよう』と返事をし、固く握手を交わしました。

 それから数ヶ月、僕は彼の友人としていろんな話を取材し、彼の人間性にふれてきました。日本人の病気に対する考え方の狭さや古さ、人間の尊厳をどう考えるべきかということ、糖尿病に対しての立ち向かい方など、彼に多くのことを教えられ、それを一つずつ文章として残していきました。

 そして次第に、この作業を進めるのは、彼が巨人軍のピッチャーだからではなく、一人の人間として尊敬できるステキな人物だからと思うようになりました。その後、日本語を英語に、英語を日本語に訳しながら、おそらく普通の書物の3~4倍のてまをかけながら、ようやく、この本ができあがりました。この間、援助をいただいたノボ薬品をはじめ、チャリティとして無償の協力を惜しまなかった多くの方々に、深くお礼の言葉を述べさせていただきます。

 また、推薦の辞をお寄せ下さった王貞治氏、松岡健平先生に感謝いたします。今、筆を終えたこの本を前にして、感無量の気持ちですが、残念ながらガリクソンはアメリカに帰ってしまいました。そして、ふたたび大リーガーとしてアストロズ球団に復帰しました。彼の誠実で人間に対する深い愛情を持つ一面と、どんなことにでも闘志あふれ立ち向かっている姿が、この本を読んで下さった人に通じ、そして日本人の心の中に残されていくだろうか、ぼくはそればかりが心配です。そして一医師として、この本をきっかけに、多くの人たちが糖尿病というものに理解を深め、彼ら糖尿病を持つ人たちの活動を応援し、勇気づけてくれることを、心から願いたいと思います。

   1989年12月

ナイスコントロール ! - ガリクソン投手のおくりもの ビル・ガリクソン (著), 鈴木 吉彦 (著) 医歯薬出版株式会社

1回の閲覧0件のコメント

最新記事

すべて表示

トランプ大統領のベストスピーチ

Quoraからの引用です。 トランプ大統領のベストスピーチと言われる内容は、健康に対する認識でした。こういう所が、彼が人々の尊敬を集めた点だったのかもしれません。 この中に、really tough, really big, and really good appetizingという表現があります。 「タフな奴は、しっかりでかくて、食欲もしっかりある。」 これは「ダイエット」とは、一見、別のような

12月、年末は、ダイエット漫画一斉公開!

2020年12月は、12月1日から、これまで当院スタッフが作成した、GLP1ダイエットの漫画を、1か月かけて、一斉公開していきたいと思います。 コロナ禍による重くのしかかった風潮を、漫画で一斉に吹き飛ばしていただければ、と考えての企画です。 今年は「鬼滅の刃」が大流行しましたし、アニメで始まり、アニメで終わるのが、美しいのかもしれません。

「いきなり!ステーキ」で15キロ減量できるか

2015年、5年前の「いきなり!ステーキ」は、元気がありました。 以下のように、赤身の肉だけたべて、15kg痩せられるかを実験したそうです。 「赤身肉だけを食べるダイエットの行方」がテーマでした。 しかも、2015/09/18 の記事ですから5年前の記事です。 ただし、加えて、「筋肉トレーニング、有酸素運動も行う。これらにかかる費用は会社から経費として出ることになっている。」ということで、肉だけ食