- clinic94
第8章 その他の、代表的な質問
肥満が改善すれば、維持できますか?
最近、そういう質問をいただくことが増えました。
肥満は、肥満の悪循環というサイクルがあります。
肥満する −> 運動不足 −>自宅にいる時間が長くなる −>間食が増える。
あるいは、
肥満する −> 高インスリン血症が起こる −>インスリンによる反動性低血糖がおこりやすくなる −>低血糖を補うために、間食をする ーー>さらに肥満になる。
他にも
肥満する −> 周囲から、見下げられる −>うつになる −>やけっぱちになる −>また、やけ食いをする −>さらに肥満する
肥満する −> 身体が重い −>外出したくなくなる −>運動が嫌いになる −>運動不足になる −> さらに肥満する。
などなど、肥満に関係した因子が、肥満の要因、つまり、原因因子につながる時には、「肥満の悪循環」が起こります。
ですから、「肥満」自体が改善すれば、その肥満の悪循環を断ち切ることになり、やせた体型を維持できるということは多いものです。
特に、GLP1は、膵臓からのインスリン分泌を促し、一見、高インスリン血症に繋がりやすいようですが、ところが、GLP1は、小腸下部に食物がある時しか、分泌されません。それ以外で、空腹の時には、GLP1は、食欲抑制ホルモンとして作用します。
そして、例えば、ビクトーザを注射すれば、食欲がおちて、食事量が減りますから、食事によって誘発されるインスリン分泌は、ビクトーザを注射していなかった時より、増えるとはいえないわけです。これによって、食事を食べていない時間帯でも、インスリン濃度を高く維持する必要がなくなり、自然に、低血糖にもなりにくく、おちついた環境が作れます。
おそらく、そのためでしょうか? GLP1受容体作動薬では、副交感神経が活動し、交換神経は低下すると、されているのです。
ビクトーザを注射して、以前より、メンタル面の落ち込みがなくなった、そういうことは、よく経験しますが、薬物学的な作用によって、明らかに、肥満の悪循環がとれるというのは、様々な分野から証明されていることだろうと、考えています。
結論として、「肥満」は、「肥満の悪循環さへ解決できるようになれば」、その後は、それ(非肥満の状態)を維持できるはず、ということになります。