今日は母の日。昨年、亡くなった母のため、いろんな思い出がうかびます。
昏睡状態になった時、最後に母からもらえるものは?
ふと、そう考え、母の口腔粘膜をもらい、遺伝子を調べました。
アルツハイマーの原因遺伝子のひとつ、ALDH2遺伝子、それを調べ、結果をみたら、 母は、非活性型。私は、活性型。遺伝子型が異なり、母はアルツハイマーになりやすく、私はなりにくいタイプ。
その結果をもらえただけで、アルツハイマー認知症にはならないだろう、という将来計画が立てられて、人生設計も変わりました。最後の最後に、遺伝子情報をくれた母に、とても感謝しています。
同じようなことが、「肥満遺伝子」についても、言える時代がくるのかもしれません。
母の日に、肥満している母と自分とが、同じ遺伝子をもっているのかどうか、 もし母が肥満していたら、その情報を子供に教えてくれるのか、 子供は、それを知りたいのか、。
これって、「肥満は自己責任か、どうか」という問題に、直結する問題です。
もし、肥満しやすい遺伝子をもらっていたとしたら、それは、自己責任ではなく、運命でしょう。ならば、その運命を、GLP1という薬剤で変えることは、決して、悪いことではない、、そう思えるのかもしれません。
特に、ミトコンドリア遺伝子は、母からしか、もらい受けません。父の精子には、ミトコンドリア遺伝子はなく、自分の体内の細胞内ミトコンドリアのほとんどは、母由来なのです。
そうなると、ミトコンドリア改善薬(イメグルミン)の効果がある人、ない人も、母の遺伝子によって、決まるという時代がくるのかもしれません。イメグルミンの臨床試験には、「家族歴」、を聴取するという手法は、発表されていませんが、日本人に効きやすいというのは、すこし、気になります。
なぜなら、日本人こそ、世界で、最もALDH2遺伝子の多型が、非活性型である人口割合が多い民族だから、なのです。
そして、ALDH2の活性型と、ミトコンドリア遺伝子の障害が、相関することを、世界で最初に、Diabetes Careという雑誌に発表したのは、私でした。核遺伝子多型とミトコンドリア遺伝子多型との相関は1996年当時、誰もが考えていたが、証明できずにいましたが、私や末松誠先生(慶應大学教授、元慶應義塾大学医学部長。AMED初代理事長)が、共著で発表し、同級会では、おまえ、よくやったよな、と末松(慶應大学62回生の同級生は、仲がよく、みな性は呼び捨てです。)から褒められるのが、この論文でした。
Diabetes Care 1996年の論文で、まだ、誰も、核遺伝子とミトコンドリア遺伝子との相関を証明していなかった頃の、論文だったがゆえに、その当時の、discussionは、今になって読めば、poorです。だって、先駆者がいなかった時代でしたから。
とまあ、、このように、、
母の日に、ミトコンドリア遺伝子を考えたり、肥満遺伝子を考えたり、アルツハイマーを考えたり、Diabetes Careを思い出したり、母校を思い出したり、、、医学は奥が深いので好きです。
おそらく、毎日、毎日、GLP1だけのことばかり指導している専門クリニックの医師たちとは、まったく次元が異なります。彼らは、何の学問しているのでしょう? そもそも同じ話ばかりをして人として賢くなるのでしょうか????。。??????。。
それに比べて、実臨床で多岐に行っている私の立場のほうが、本当の、プロフェッショナルな内科医だと、私は、思います。他科の医師とは、GLP1への理解は次元が違うとも思います。つまり、実際の私は、こんなタイプの糖尿病専門医、臨床家、研究者、元医科大学の大学教授(元日本医科大学客員教授、13年間)、なのです。
そして、今は、自由な開業医( the Kaigyoui ) であることは、模範であった父に感謝です。