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注射するだけで痩せる薬
注射するだけで、痩せるし、血糖値もよくなる薬、があれば、と誰もが思います。
痩せるが先で、血糖コントロールがよくなる、が2番目という点がこれまでの薬と異なるところです。これまでの糖尿病治療薬は、血糖コンがよくなるが1番。次が体重が減る、痩せるが2番でした。この順番の、1番と2番の順番を変えて発想するだけで、治療として処方する薬剤選択が変わります。
その、おそらく最先端を走る薬が、肥満と糖尿病の治療薬として、英国で臨床試験を進めており、Phase2aが終了し、その結果は、欧州糖尿病学会(バルセロナ)でも、報告され、その講演を聴講してきました。
すっごく興味深かったのが、この「注射するだけで痩せる薬」と、GLP1ダイエットでは、食事指導の指導方法が変えなくてはいけない、ということでした。注射するだけで、やせるためには、グルカゴンを利用します。グルカゴンは脂肪分解だけでなく、肝臓からの糖新生、の他にも、タンパク質の分解合成にも関与し、それを慢性的に投薬することは、通常はないのですから、全くこれまでとは異なる栄養指導の概念が必要になります。
つまり、従来、グルカゴン、は、低血糖が起こったら、分泌されるべきホルモンであり、普段は、分泌されてはいけないか、もしくは、GLP1を投与すると、分泌抑制が起こってしまうホルモンなのです。それを、あえて、常時、グルカゴン濃度を高め、グルカゴン受容体を刺激する状態を作るのですから、かなりの異常状態を、薬剤を使って、作ります。
論文は、雑誌Lancetに掲載され、世界が一躍、注目されるトピックスになっています。
Lancet. 2018 Jun 30;391(10140):2607-2618. MEDI0382, a GLP-1 and glucagon receptor dual agonist, in obese or overweight patients with type 2 diabetes: a randomised, controlled, double-blind, ascending dose and phase 2a study. Ambery P1, et al.
考察には、今アメリカで、新しい1週間に1回のGLP1製剤として、騒がれている、商品名オゼンピック(一般名、セマグルチド)を追い越す新薬になるだろう、という宣言も記載されていました。
論文は長いので、分けて、ゆっくり紹介します。
ですが、サクセンダを、3.0mg注射していると、「太る気がしなくなる」という言葉が理解できるようになります。
おそらく、かなり短期間で痩せることができそうなので、「痩せないきがしなくなる」という新薬になるかもしれません。
ですから、
痩せない気がしない薬で痩せて、いったん、痩せたら、太る気がしなくなる新薬で、その状態をキープする新ダイエット法。
あと3年もしたら、こういう発想が普通の内科医ができるようになることでしょう。糖尿病の世界も、栄養指導も、パーソナルジム業界も、すべてのダイエット市場に、大きな波紋を与えることは間違いなさそうです。
内分泌代謝を一生懸命、まともに勉強する美容外科医たちが、さぞかし増える事でしょう。
