糖尿病外来をしていると、40~50歳代の女性から、 HbA1cは5~6%台なので、十分、血糖コントロールはうまくいっているが、 「ただただ、痩せたい」という患者さんの希望だけで、GLP1の増量をすることがあります。
愁訴は同じです。 「もっと食欲を落として、体重を減らしたいから。」
GLP1ダイエット外来を受診される女性の方々と、同じです。 違うのは、糖尿病の診断がついていると、「保険適応の薬剤」として処方できること。
糖尿病の診断がついていないと、「国内未承認の薬剤」としてしか処方できないこと。
この違いだけです。これが、「実際の臨床の場」の「現実」です。 糖尿病の診断がついているというだけで、その患者さんの、「痩せたい」という要望に応えてあげる糖尿病専門医は、「医の倫理」には反していなくて、 糖尿病の診断はついていないけれど、将来、糖尿病になりたくない、糖尿病を予防したい、そのために「痩せたい」という要望に応えて、GLP1を処方する糖尿病専門医は、「医の倫理」に反する、なんて、あるのでしょうか?
正直、ないと思います。
なので、今後、厚労省が注意勧告するのは、あくまで、「美容目的」「営利目的」のみで、まともに、「治療の説明をしていない」、「ナースや医師などが説明をしていない」、「消費者センターに苦情が殺到している」、というような、そういう医療機関だけに絞って、注意勧告をしていただきたいと思います。
私の主張は、間違っているでしょうか? 改めて、ブログという公けの場で、問いただしたいと思い、外来診察中に書いています。
これって、「倫理」の問題というよりも「哲学」の問題ではないのではないでしょうか?